PPAPから考える 「インフルエンサー」はどこにいる?
去年、大きな話題となったピコ太郎の「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」。
わずか1分9秒の動画が、有名人による「拡散」で世界的ブームになったことは、SNSでのブームの仕掛けを考えるマーケティング界隈でも大いに話題になりました。
このPPAPの成功例、企業PRのノウハウとして参考になるところがあるのでしょうか。
■有名人の紹介は期待できない
マーケティングの世界では、ターゲットへの影響力をもつ情報発信者「インフルエンサー」の重要性がよく語られます。
PPAPもミュージシャンのジャスティン・ビーバーさんがTwitterで紹介したことがブームのきっかけ。
理論通り、インフルエンサーが決定的な役割を果たしたという意味では示唆的です。
しかし、これをそのままノウハウとして落とし込むのは困難でしょう。
ピコ太郎さんも、世界的ミュージシャンに紹介されるということは全く予想外のこと。
実際は、普通の会社が商品を有名人に紹介してもらうのはあまり現実的ではありません。
動画をネットにアップし「誰かが紹介してくれないかな・・・」と他力本願で待っても、成功可能性は極めて低いでしょう。
■各分野にインフルエンサーはいる
実際のPRでは、自社の商品のインフルエンサーになりうる人は誰なのか、丁寧に分析していく必要があります。
ジャスティン・ビーバーさんのツイートが影響力を持ったのは、音楽ファンが彼の才能、センスを認め、発言に注目しているから。
このようなインフルエンサーは、必ずしも誰もが知る有名人ではありません。
業界や年齢、関心で分割された特定のクラスタにおいては、一般には有名ではなくても、意外な影響力を持つ人がいます。
たとえば、専門分野で発言が注目されるライターやコメンテーター、評論家等が考えられるでしょう。
また、主婦やサラリーマンでも、ブログ等でその分野での見識が認められていることがあります。
自社の商品でインフルエンサーになりうる人をリサーチ、個別にコンタクトし、リレーションを築くのが有効です。
■能動的、継続的なアプローチを
また、PPAPで重要な役割を演じたSNSは、現代のマーケディングで重要なツールであることは論を待ちませんが、決して万能ではありません。
インフルエンサーが必ずソーシャルメディアを使用しているわけではなく、ターゲットもネットで情報を得ているとは限らないからです。
大切なのは、様々なメディアで適任のインフルエンサーを「キャスティング」すること。
ソーシャルメディアを使わない手段だと、結果を出すまでに時間がかかり、PPAPのような劇的な成功は望めないかもしれませんが、粘り強く仮説と検証を繰り返し、発信を継続することで成功に近づくことができるのではないでしょうか。