マーケティングにおけるコンセプトとして比較されることの多い「ニーズ志向」と「シーズ志向」ですが、現在の市場において必要とされ、重要視されているのはどちらの考え方なのでしょうか。
それぞれの志向の違いや特徴、メリット・デメリットなどとともに詳しく解説します。
▼ 大きな違いはサービス提供の視点が「消費者視点」か「生産者視点」か
シーズ志向とニーズ志向の大きな違いは、商品やサービスを「消費者視点に立って市場へ提供するか」「生産者視点に立って市場へ提供するか」という点です。以下で詳しく見ていきましょう。
・・・ニーズ志向は消費者の目線にたって商品やサービスを提供する考え方
「ニーズ志向」とは、消費者が求めている物や、需要に沿った商品やサービスを生み出し提供する考え方のことを指します。
今、市場ではどのようなものが必要とされているのかを入念に調査・分析した上で「消費者の目線にたって商品やサービスを生み出す・提供する」のがニーズ志向なのです。
例えば食品や衣類、車、スマートフォンなどはいずれも需要が高く途切れることがありませんから、ニーズ志向に沿った商品となります。
更に、すでにニーズのある商品の中でも、同業他社より低価格かつ高機能で販売をしている企業は、「いい物をより安く手に入れたい」という消費者の思いを満たしていますから、ニーズ志向のマーケティングを行っているといえます。
・・・シーズ志向は生産側の思考のもと商品やサービスを提供する考え方
一方「シーズ志向」は、生産側の意思のもと、独自のノウハウやアイデアを利用して新しい商品・サービスを生み出して提供する考え方のことを指します。
つまり、「こんなものを作りたい、提供したい」という生産者の視点のもとで、市場に存在していない、新たな商品やサービスを生み出すことをシーズ志向というのです。
シーズ志向に基づいた事例として分かりやすいのは、Apple社を創設したスティーブ・ジョブズ氏によるマーケティングでしょう。
ジョブズ氏は、「人はカタチにして見せてもらうまで自分が何が欲しいかなんて分からない」つまり、実は消費者自身が本当のニーズを分かっていないという考えを持っていました。
そして彼は、消費者のニーズに沿ったマーケティングを行うのではなく、彼自身が持つ思考や発想力、開発力によってiPhoneを始めとする革命的な商品を次々と世に送り出し、大ヒットさせたのです。
シーズ志向で生み出したものが結果的に消費者のニーズを獲得したといえます。
▼ ニーズ志向とシーズ志向のメリット・デメリット
それでは、ニーズ志向とシーズ志向のメリット・デメリットを見ていきましょう。
・・・売れる可能性は高いが市場の独占は難しいニーズ志向
ニーズ志向のもとで提供する商品やサービスにはすでに需要があるので、必然的に売れる可能性が高いという点が大きなメリットです。
しかし、同じ事業を営む他企業も同様のニーズに基づいた商品やサービスを出しているため、類似してしまうことが多く、市場を独占することは難しいという点がデメリットとして挙げられます。
・・・成功すれば市場の独占も夢ではないが現実的には厳しいシーズ志向
いまだかつてない、独自の商品やサービスを新たに生み出すシーズ志向では他の企業と競うことはありませんから、うまくいけば大ヒットを叩き出し、市場を独占することも夢ではない、とう点がメリットとして挙げられます。
しかし現実的には簡単にできることではありませんし、ニーズを無視し、ただ「これを売りたい!」という生産側の意図を満たすだけの商品やサービスでは消費者は見向きもしてくれない、ということも少なくないのです。これはシーズ志向のデメリットと言えます。
▼ 現代市場においてシーズ志向のみでマーケティングを行うことは困難
未だ世界に存在していない革新的な商品やサービスを生み出すには、シーズ志向を重視すべきです。
しかし、市場にはすでに多くの商品やサービスが溢れているため、すでに供給は満たされている状態です。
また上でも述べた通り、いくらシーズ志向といっても、消費者のニーズもしっかりと視野に入れ、同時に満たすことが出来なければ「売れる」ことは難しいでしょう。
スティーブ・ジョブズ氏のように、シーズ志向のもとで1から商品を生み出し、そこから消費者ニーズを発生させることは容易ではないのです。
▼ 多様化する消費者ニーズを満たすニーズ志向のマーケティングが必要
実際にシーズ志向のもとでマーケティングを行っている企業はごく一部であり、ほとんどの企業ではニーズ志向が重要視され、ニーズ志向を中心としたマーケティングが行われています。
既存の商品・サービスの中でも多様化する消費者のニーズを見つけ、それにあわせたものを提供することが、現代市場でマーケティングを行う上で大切なことと言えるでしょう。
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