客足の多さは店舗経営における成功の物差しと言われてきましたが、驚くべきことにデジタル化の進んだ現代においても依然として重要な指標であり続けています。ネットでの売買が増えている昨今ではありますが、それでも日本におけるの売上の9割以上はリアル店舗を通じて生み出されており、だからこそ客足を伸ばすことは最重要課題のひとつであり続けています。
ここでは、リアル店舗への訪問者を増やすためのマーケティング戦略を適切に用意するのに役に立つコンセプトや方法について、各フェーズごとにご紹介していきましょう。
1店舗への客足を測定する
客足を測定するための方法は数多くあります。そこに昨今のテクノロジーが加わることによってより正確なデータが集められるようになり、多彩な情報を入手することもできるようになりました。以下に代表的な方法をご紹介します。
- 伝統的な来客数カウンター:一人のスタッフが店舗の前に立って来客人数をカウントするというとてもアナログな方法。来客があるたびにカウントし、客足を登録していきます。とてもシンプルな方法ではありますが、どうしてもヒューマンエラーがつきもの。おまけに、来客数以外のデータを手に入れることもできません。
- Bluetoothとを利用する方法:WiFiあるいはBluetoothを搭載したスマートフォンによってネットに接続しようとアクションをした際のpingを利用する方法で、来客数をカウントするとともに、ビジネス展開に役立つ関連データを収集したり、トラッキングも行えます。データは完全に匿名ですので、プライバシーを心配する必要もありません。
- 人感センサーを使ったシステム:上にご紹介したWiFiやBluetoothを使った方法ではそれぞれオフになっていると使い物になりませんが、店舗の入り口に人感センサーを取り付ける方法であれば、より精度の高いデータを入手できます。このシステムのメリットは、店舗の近くでしばらく躊躇したあげく、結局は来店しなかった人数も知ることができるということ。この方法はモールの中にある店舗により適しています。
2収集されたデータを分析する
データが集まったら、マーケティング戦略に役に立つさまざまなアクションプランを練るために分析を行います。その際、以下のポイントに留意してみるといいでしょう。
- ある特定の日の来客数と購買件数の比率
- ECサイトがある場合は、リアル店舗とECサイトにおけるそれぞれの購買比率
- カスタマーが店舗を知るために接した情報ソース
- 繰り返し来店してくれるカスタマーの数(ロイヤルカスタマーになってくれるポテンシャルがあります
- 店舗で最も売れる商品およびそれが人気である理由
- 店舗で最も忙しい時間と曜日
- カスタマーが残念に感じているポイントや購買を諦める理由など
3.客足を伸ばすためのマーケティング的なコツ
上にご紹介した分析を活用することによってマーケティング戦略をカスタマイズしやすくなりますが、ここではベーシックなフレームワークとして活用できる黄金メソッドもご紹介しておきましょう。
(1)新しいカスタマー向け
- ジオ・フェンシング:人々をリアル店舗に誘導するための最新のマーケティング手法のひとつ。ロケーションに基づいたサービスで、店舗の周辺エリアに立ち入ったユーザーに向けてプロモーション・メッセージやプッシュ通知を送信することができます。どこで商品を購入しようかを決めようとしている最終段階にあるカスタマーにポジティブな影響を与えられる手法です。
- インストア・ディスカウントの提供:客足を伸ばす直接的な手法。インストア限定のディスカウントを提供することで、ダイレクトに客足を伸ばすことに役立ちます。ただしこの手法は数日間の効果はありますが、恒久的なソリューションとはなりません。
- 無料のワークショップやイベントの開催:コスメティックスなどを販売している店舗であれば、カスタマーの役に立つワークショップを開催してもいいでしょう。メイクアップ・アーティストによるマスタークラスや、ブライダルメイクの無料トライアルなど、より多くの来店を期待できるイベントがおススメです。
- 舞台裏を見せる:カスタマーの興味を引くために、商品がどのように作られているのか、”魔法”の裏側を見せるのもいいでしょう。ファッションブランドであれば、アイテムが作り上げられる工程を見せることで、ブランドのバリューをより高めることにもつながります。
(2)既存のカスタマー向け:ロイヤルカスタマーの多さはビジネスの成功の証。ここでは、リアル店舗でカスタマー・エクスペリエンスを高めるための戦略をご紹介しましょう。
- キッズ・プレイ・エリアを用意:子供連れでのショッピングはとても骨の折れることであり、たいていは子供の機嫌を損ねてショッピングを早々と断念せざるを得ないもの。絵本やボードゲームを置いたキッズ・プレイ・エリアを用意して、親がショッピングをしている間に子供が楽しむことのできる場所を提供しましょう。
- 待合ラウンジを用意:ショッピングは自分のためでないと途端に退屈になってしまうもの。マガジンラックや音楽設備、ドリンクやスナックなどを備えた待合ラウンジを用意することをおススメします。買い物をするひとの「待たせている」というプレッシャーを軽減することができ、ショッピング・エクスペリエンスをよりハッピーなものにすることができます。
- パーキングチケットのディスカウント:もしモールの中に店舗があるということでしたら、来店客への駐車料金の割引を導入しましょう。そうすることで、商品を購入する気がない方にも来店してもらえるようになります。