執筆者:PR事業部 ジャン・アランゾ
PR・広報の仕事は単なるメディアにプレスリリースを配信するだけのような、単純な業務ではありません。良いPRは練られたプランを実行するだけでなく、戦略誠実にかつ確実に実行することが求められます。
日本でのPRと異なり、アメリカのPR業界は歴史が長く重要な業界のひとつとして存在し続けており、すべての企業が成功の鍵となる自社ブランドの営業活動において、PRを重要視しています。日本のPRは、海外のトレンド・事例が遅れてトレンドとなることも多く、今アメリカのPR業界でトレンドとなっていることを先取りすることは、PR担当者において重要といえます。
1.透明性
広告と異なり、PRにとって誠実かつ倫理的なコミュニケーションが重要となります。つまり、企業の責任感、倫理感、透明性が高ければ高いほど、忠実で誠実なPR活動を行うことができると言えます。信頼が得られない、不透明な会社のPR活動は結果としてプロモーション自体が不誠実なものとなり、成功しません。
PRプロフェッショナルは企業のPRにおいて最大限の結果を残すため、誠実で、倫理的なPR戦略の開発が求められます。
危機管理においては、ただ単に謝罪するだけではより悪い状況を作ってしまう可能性があります。謝罪に加え、社内でどのようなどんな前向きな取り組みを行うのか、明確な「ネクストステップ」をメディア・お客様に見せることが必要です。
自社製品がすばらしいからといって、ただすばらしい製品としてプロモートするのも不十分です。製品のメリットを、多くの場合は口コミを通じて、最近では強力で誠実なインフルエンサーリレーションズを利用して、「お客様にリアルな良さ」を見せる必要があります。
アメリカのPR業界では、日本よりも「フェイク・嘘」に敏感です。嘘が入り込む余地はありません。たったひとつの嘘で、ブランドイメージが完全に損なわれることを企業側も理解しています。今後は世界的によりフェイク・嘘のニュースはよりシビアにみられるようになるでしょう。
2.インフルエンサーPR
多数のフォロワーを持つインフルエンサーは、ソーシャルメディアの発展により多くのPR戦略にとって最重要事項のひとつになっています。
しかし現在ソーシャルメディアプラットフォームに広告やスポンサードの投稿が増えるとともに、PR戦略の1施策として起用されるインフルエンサーが信頼を得ることは難しくなってきます。フォロワー数が多ければ多いほど、そのフォロワーが「実在するのか」などが不透明で、信頼性も低くなります。
そこで、現在マイクロインフルエンサーの起用が増えてきています。フォロワー数はそれほど多くなくとも、より実体のあるフォロワーを抱えたインフルエンサーを活用することで、ニッチなオーディエンスに確実にリーチすることができます。
マイクロインフルエンサーはリーチ数という観点では強みは少ないものの、誠実さと眼識の点では信頼性があり、起用する価値があるといえます。よりよいPRとインフルエンサー施策のためには、インフルエンサーの経歴とオーディエンスをしっかりと調査することが重要です。バニティメトリクス(虚栄の指標)は時間が経てばたつほど倫理的で正直、透明性のあるインフルエンサーの起用が今後は主流になるでしょう。
3.PRとマーケティング
PRとマーケティングは切っても切り離せない関係と言えます。
PR戦略はメッセージ・ストーリーの構築から始まり、そのメッセージを伝える際、多くの場合がマーケティング戦略を同時に実行することでより効果的となります。強力で誠実なメッセージを、緻密に練られたソーシャルメディアキャンペーンやコンテンツ制作、インフォグラフィック等と組み合わせることで、より効果的なメッセージをターゲットに届けることが可能になります。
最後に
アメリカのPR業界は20世紀の初頭にはじまりから現代に至るまで重要視されています。
もちろん、その内容・施策には大きな変化が見られますが、現在でも最も重要視されているのは、企業・団体とコミュニティとの間のコミュニケーションです。
良いPRはまず何よりも正直さと誠実さ・透明性をもって、コミュニティとの間に強い関係を構築することを最大の焦点にしなければなりません。昨今ではPRだけでは不十分なことも多く、PR・マーケティングを組み合わせた総合的なアプローチが要になります。
良いPRは真実からスタートして、この真実さえあれば、効果的なPR戦略のために最も必要な材料が揃ったといえます。